日々のあはい

貧乏人、本を読んで暮らす

秋晴れ真夏日、桃サラダ / 読書メモ(3‐2)

タイトルに一度「夏日」と打ち込んでから、夏日と真夏日がそれぞれ何度の日を指すのだったか忘れていることに気が付いた。Heyアレクサ。曰く、夏日は25度以上、真夏日は30度以上を記録した日のことだそう。我が街は本日、真夏日でめちゃくちゃいいお天気だ。白い水彩絵の具をシュッと掃いたような雲が、澄んだ水色の上に不規則に伸びている。秋らしく清々しい晴天である。でも真夏日。もうよくない?夏は好きだがしつこいやつは嫌いである。せめて夏日で収まらんか。

こうなったら月見バーガーを食べるしかない。いまいち上がり切らない秋度をアゲに行くのだ。そう思って炎天下に飛び出したのだが、信号待ちの最中に急にカフェの気分が湧いてきた。なんかこう、目に入っただけで癒される感じのケーキとかランチプレートが突然食いたくなったのだ。女心と秋の空、結局、バス停へ向かうはずだった踵を返して行きつけのカフェに向かった。

週替わりのプレートは、もちもちアツアツのフォカッチャと、サラッとしたビシソワーズ、サラダには桃やモッツアレラチーズやオリーブが乗っていた。ひと口ずつ食べていく。美味い。あと上手い。ひとつひとつが美味しいだけでなく、どのように食べてもぶつからない。こういう組み合わせにはきっとセンスのようなものが必要なのだろう。先日、別のカフェで食べた桃のパフェは桃ひとつ丸ごと使った贅沢なデザートだったが、その桃を含めたすべてがバニラアイスの甘さに負けており、さながら「アイスのパフェ」だった。今日のサラダは、桃の量は少なくてもしっかり「桃のサラダ」である。食べ終わってから「食べ終わってしまった」と思えるのはしあわせなことだなあ。

特に秋度は上がらなかった(桃も旬ではあるのだろうが、夏のイメージがやはり強い)が、満足度の高いランチとなった。月見バーガーはまた今度、いや、次の休日に。具体的にいつと思うだけ思っておかないと、季節限定メニューは逃してしまいがちである。まあ、それでなくても私はだいたい何かを食べることばかり考えている。嗚呼、食欲の秋。あと冬と春と夏。

読書メモ(3-2)

読了。面白かった。面白かったけど短くて(214ページ)寂しい。あと200ページくらい欲しい。続編を読めって?それはそう。あとアニメ版ももう1回観たくなった。里志が好きだったと思うのだけれど、原作でもやはり里志がいちばん気にかかるのである。アマプラはダメか、残念。

勉学やスポーツや恋愛にエネルギーを燃やす薔薇色の高校生活があれば、あらゆる活力に興味を示さない灰色を過ごす高校生もいる。主人公・折木(おれき)は、灰色の高校生活を寂しいものだと思いながらも、自分自身、浪費を厭い面倒を遠ざける、省エネルギーの生き方が板についてしまったとも感じている。「高校生活といえば薔薇色だ。そして薔薇は、咲く場所を得てこそ薔薇になるというもの。俺は適した土壌じゃない。それだけのことだ。」

薔薇色の彼女と世界とに影響されて灰色の彼が染まっていく、そればかりの話ではないところが私の好みだった。「きっと十年後、この毎日のことを惜しまない」、そんな風に言いたくなる高校生活の中には、薔薇色の瞬間もあればショッキングピンクの日もあり、灰色の時間だってもちろんたくさんあるに違いない。つまり少年、それが青春。あと400ページ欲しくなる、そんな青春。